失恋したあとに花屋の前を通ると、いつもより花が目に入ってくることがあります。花にはそれぞれ花言葉があり、なかには「望みのない恋」「恋の終わり」といった、失恋の気持ちをそのまま言葉にしたものも少なくありません。この記事では、失恋を意味する花言葉を持つ花12種を意味のタイプ別に整理し、そうした意味がついた由来までたどります。あわせて、前を向きたいときに寄り添ってくれる花や、失恋した相手に花を贈るときの選び方も紹介します。
失恋を意味する花言葉一覧【切ない意味を持つ花12選】
失恋にまつわる花言葉は、大きく3つのタイプに分かれます。「報われない恋」を表すもの、「別れそのもの」を表すもの、そして「忘れられない気持ち」を表すものです。同じ切なさでも、恋のどの段階を指しているかが違います。まずは代表的な12種を、そのタイプごとに見ていきます。
よく知られているのは、黄色いチューリップの「望みのない恋」、チョコレートコスモスの「恋の終わり」、紫苑(シオン)の「君を忘れない」の3つです。失恋の花言葉といえば、まずこのあたりが挙がります。
報われない恋・片思いの終わりを表す花
相手に気持ちが届かなかった恋、はじめから望みが薄かった恋を表すグループです。片思いのまま終わった気持ちに、いちばん近い言葉が集まっています。
| 花 | おもな花言葉 |
|---|---|
| 黄色いチューリップ | 望みのない恋/報われぬ恋 |
| スカビオサ(西洋マツムシソウ) | 私はすべてを失った/不幸な愛 |
| アネモネ | はかない恋/見捨てられた |
| 黄色いバラ | 嫉妬/愛情の薄らぎ |
チューリップは色で花言葉が大きく変わる花です。赤が「愛の告白」なのに対し、黄色は「望みのない恋」。同じ花なのに、正反対の場所に立っています。スカビオサの「私はすべてを失った」は花言葉のなかでもとくに直接的な表現で、うつむくように咲く花姿とも重なります。
黄色いバラは「友情」というおだやかな意味も持ちますが、恋愛の文脈では「嫉妬」「愛情の薄らぎ」が前に出ます。プレゼントとして選ぶなら、贈る相手との関係を確かめてからのほうが安心です。
別れ・さよならを表す花
付き合っていた相手と別れた、あるいは離れて暮らすことになった――そんな場面に重なる花言葉です。悲しみ一色ではなく、次へ進む気配を含んだものが混ざっているのがこのグループの特徴です。
| 花 | おもな花言葉 |
|---|---|
| チョコレートコスモス | 恋の終わり/移り変わらぬ気持ち |
| キンセンカ(金盞花) | 別れの悲しみ/悲嘆 |
| スイートピー | 門出/別離/優しい思い出 |
| ミヤコワスレ(都忘れ) | 別れ/しばしの憩い |
チョコレートコスモスは、名前のとおり黒みを帯びた赤褐色の花で、かすかに甘い香りがすることで知られています。「恋の終わり」と「移り変わらぬ気持ち」という、相反する2つの花言葉を同時に持つのがこの花の面白いところです。終わってもなお変わらない気持ち、と読むこともできます。
スイートピーは「別離」を持ちながら「門出」も持ちます。卒業式のシーズンによく使われるのは、この前向きな側の意味があるためです。
キンセンカの詳しい意味や色別の違いは、次の記事でまとめています。


忘れられない気持ちを表す花
別れたあとも消えない想いを表すタイプです。失恋の花言葉のなかでは、もっとも余韻のある言葉が並びます。
| 花 | おもな花言葉 |
|---|---|
| 紫苑(シオン) | 君を忘れない/追憶 |
| ワスレナグサ(勿忘草) | 私を忘れないで/真実の愛 |
| ヒガンバナ(彼岸花) | 悲しい思い出/あきらめ |
| 紫のヒヤシンス | 悲しみ/ごめんなさい |
紫苑とワスレナグサは、どちらも「忘れない」を軸にした花言葉を持ちます。ただし主語が違います。紫苑は贈る側が相手を忘れない、ワスレナグサは相手に自分を忘れないでほしいという向きです。似ているようで、込められた気持ちの方向は逆になります。
紫のヒヤシンスの「ごめんなさい」は、謝罪の気持ちを花に託したいときに引き合いに出されることの多い花言葉です。ヒヤシンスは色によって意味が大きく分かれるため、色選びには注意したい花でもあります。


花言葉に「失恋」の意味がついた理由|由来をたどる
失恋の花言葉には、はっきりした出どころがあるものと、花の姿から自然に生まれたものの2系統があります。由来を知ると、「なぜこの花にこの言葉なのか」がすんなり腑に落ちます。
ギリシャ神話・伝説が由来の花
ヨーロッパ由来の花言葉には、神話をもとにしたものが多く見られます。悲恋の物語がそのまま花の意味になった、という形です。
- アネモネ:女神アフロディーテが愛した美少年アドニスが命を落とし、その血から咲いたとされる花です。短い命と結びついた物語から、「はかない恋」の意味が生まれました。
- ヒヤシンス:アポロンに愛された少年ヒュアキントスが、円盤の事故で亡くなった際に流れた血から咲いたとされます。悲しみを表す意味は、この物語に由来します。
- ワスレナグサ:川辺の花を恋人のために摘もうとした騎士が流されてしまい、最期に「わたしを忘れないで」と言い残した、というドイツの伝説が知られています。学名や英名の「forget-me-not」もこの話と結びつけて語られます。
いずれも、若くして失われた命の物語です。恋が実らなかったこと自体より、「もう戻らない」という感覚のほうが花言葉の核になっています。
花の姿や散り方から生まれた意味
もう一方は、花そのものの見た目や咲き方から生まれたものです。日本で育った花言葉には、こちらのタイプが多く見られます。
- ヒガンバナ:秋の彼岸のころに、葉のない茎だけを伸ばして咲きます。花と葉が同時に出ない性質から「会えない」というイメージが重ねられ、墓地の周辺に多く見られることもあって別れの印象が強まりました。
- スカビオサ:細い茎の先で花がわずかに傾く咲き方をします。うなだれた姿が喪失感と結びつけられ、ヨーロッパでは喪の花として扱われてきました。
- ミヤコワスレ:承久の乱で佐渡に流された順徳天皇が、この花を見て都への思いをしばし忘れた――という言い伝えから名前がついたとされます。「別れ」と「しばしの憩い」が並ぶのは、この由来の両面です。
怖い意味や不吉な意味を持つ花全般については、次の記事で30種を一覧にしています。失恋の花言葉と重なる花も一部含まれます。

失恋から前を向きたいときに寄り添う花【新しい始まりの花言葉】
失恋の花言葉を探している人の多くは、切ない意味を知りたいだけでなく、そこから先に進むきっかけも探しています。ここでは、再出発や自分をいたわる気持ちに重なる花言葉を集めました。
再出発・門出を意味する花
| 花 | おもな花言葉 |
|---|---|
| スズラン | 幸せの再来/純粋 |
| 白いチューリップ | 失われた愛/新しい愛 |
| オレンジのガーベラ | 我慢強さ/冒険心 |
| クロッカス | 青春の喜び/切望 |
とくに知られているのがスズランの「幸せの再来」です。フランスには5月1日に「ミュゲ(スズラン)の日」があり、この日にスズランを贈られた人には幸福が訪れるとされています。失恋のあとに飾る花として名前が挙がりやすいのは、この意味の明るさによるものです。
白いチューリップは「失われた愛」と「新しい愛」を同時に持ちます。ひとつの恋が終わったことと、次が始まることを、同じ花が引き受けている形です。切り替えの一輪として、意味の上ではきれいに収まります。
自分をいたわる気持ちに合う花
誰かに贈るためではなく、自分の部屋に飾るための花です。無理に元気を出させようとしない言葉のほうが、しっくりくることもあります。
- リンドウ「悲しんでいるあなたを愛する」——落ち込んでいる状態そのものを肯定する、めずらしい花言葉です
- カモミール「逆境に負けない強さ」「苦難のなかの力」——踏まれても立ち上がる草姿が由来とされます
- ナデシコ「純愛」「無邪気」——気持ちをまっすぐ持っていたこと自体を肯定してくれる言葉です
- スターチス「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」——ドライフラワーにしても色が残るため、長く飾れます
カモミールとスターチスについては、それぞれ単独の記事で由来や色別の意味を詳しく扱っています。



色や本数で変わる失恋の花言葉
同じ花でも、色が変われば花言葉はまったく別のものになります。失恋にかかわる花はとくにその差が大きく、色を選び間違えると意味が正反対になることもあります。
色で正反対になる代表例
| 花 | 色 | 花言葉 |
|---|---|---|
| チューリップ | 赤 | 愛の告白 |
| チューリップ | 黄 | 望みのない恋/報われぬ恋 |
| チューリップ | 白 | 失われた愛/新しい愛 |
| チューリップ | 紫 | 不滅の愛 |
| バラ | 赤 | 愛情/情熱 |
| バラ | 黄 | 嫉妬/愛情の薄らぎ |
| バラ | 白 | 純潔/深い尊敬 |
| ヒヤシンス | 紫 | 悲しみ/ごめんなさい |
| ヒヤシンス | 黄 | あなたとの競争 |
| ヒヤシンス | 白 | 控えめな愛らしさ/無意識の美 |
チューリップは4色で意味がすべて違います。花束にするときは、色をそろえるか、意図して混ぜるかを決めておくと安心です。
バラは本数でも意味が変わる
バラには本数ごとの意味づけがあり、恋愛の場面でよく引き合いに出されます。失恋にかかわるものを挙げると次のとおりです。
| 本数 | 意味 |
|---|---|
| 1本 | 一目惚れ/あなただけ |
| 15本 | ごめんなさい |
| 16本 | 不安な愛 |
| 17本 | 絶望的な愛 |
本数の意味は、花束を贈る習慣のなかで広まったものです。相手が知らなければ伝わりませんが、謝罪の気持ちを込めて15本を選ぶ、といった使い方は花屋でも通じます。本数別の意味は、マーガレットの記事でも詳しく扱っています。

失恋した人に花を贈るときの選び方と注意点
失恋した友人を励ましたいとき、花は選択肢のひとつになります。ただし花言葉を軸に選ぶと、かえって重くなってしまうことがあります。優先すべきは、花言葉よりも相手が受け取りやすいかどうかです。
避けたほうがよい花・花言葉
- この記事の前半で紹介した「失恋を意味する花」:気持ちに寄り添うつもりでも、傷を確認させる形になりかねません
- 黄色いバラ:「嫉妬」「愛情の薄らぎ」の印象が強く、恋愛の話題の直後には向きません
- 菊(とくに白菊):日本では弔事に使われる場面が多く、贈り物としては誤解を招きやすい花です
- 香りの強い花を大量に:ユリなど香りの主張が強い花は、体調や好みで受け取り方が分かれます
反対に選びやすいのは、意味が明るく、手入れの手間が少ないものです。スズラン・ガーベラ・スターチスあたりは扱いやすく、スターチスはドライフラワーにできるため水替えの負担もありません。
渡し方とメッセージの添え方
大きな花束は、持ち帰りにも飾る場所にも手間がかかります。失恋直後であればなおさら、片手で持てるくらいのブーケや、そのまま置けるミニアレンジのほうが負担になりません。
メッセージは短く、恋の話に触れないほうが受け取りやすくなります。「元気出して」は、まだ元気になれない段階の相手にはプレッシャーになることもあります。
なお、花言葉には正解がひとつだけあるわけではありません。相手が別の意味で受け取ったとしても、それはそれで成立します。深刻に考えすぎず、見た目で「きれいだな」と思えるものを選ぶのがいちばん確実です。
よくある質問
- 失恋を意味する花言葉で、いちばん有名なものは何ですか?
-
黄色いチューリップの「望みのない恋(報われぬ恋)」がよく知られています。次いで、チョコレートコスモスの「恋の終わり」、スカビオサの「私はすべてを失った」が挙がることが多い花言葉です。いずれも恋が実らなかった状態を、そのまま言葉にしたものです。
- 失恋した友達に花を贈っても大丈夫でしょうか?
-
相手との距離感によります。贈る場合は、失恋を意味する花言葉を持つ花を避け、小ぶりで手入れの簡単なものを選ぶと負担になりません。恋の話題には触れず、短いメッセージを添えるだけにとどめるのが無難です。
- 黄色いバラは贈ってはいけないのですか?
-
禁止されているわけではありません。黄色いバラには「友情」というおだやかな花言葉もあり、友人へのプレゼントとして選ばれることもあります。ただし恋愛の文脈では「嫉妬」「愛情の薄らぎ」の意味が前に出るため、恋人や、失恋の直後の相手には避けたほうが安全です。
- 失恋の花言葉を持つ花を自分の部屋に飾るのは縁起が悪いですか?
-
花言葉は縁起の吉凶を決めるものではないため、気にしすぎる必要はありません。実際、切ない花言葉を持つ花にも「移り変わらぬ気持ち」「新しい愛」といった別の意味が併記されていることがよくあります。気持ちに合う言葉のほうを選んで飾ってかまいません。
- 花言葉は誰が決めているのですか?
-
公的に定める機関はありません。19世紀のヨーロッパで花に意味を持たせる習慣が広まり、その後それぞれの国や地域で書籍などを通じて増えていったものです。日本独自に付け加えられた花言葉もあります。そのため同じ花でも、参照する資料によって内容が違う場合があります。
まとめ
失恋を意味する花言葉は、「報われない恋」「別れ」「忘れられない気持ち」の3タイプに整理できます。黄色いチューリップの「望みのない恋」、チョコレートコスモスの「恋の終わり」、紫苑の「君を忘れない」が代表格です。
これらの意味の多くは、ギリシャ神話の悲恋や、花そのものの咲き方・散り方から生まれました。由来をたどると、単に暗い言葉というより、失われたものを言葉に残す試みだったことが見えてきます。
一方で、スズランの「幸せの再来」や白いチューリップの「新しい愛」のように、次へ進む気配を持つ花言葉も同じ数だけあります。失恋した相手に花を贈るなら、こちら側から選ぶのが安心です。
花言葉には決まった正解がありません。同じ花が正反対の意味を持つこともあります。だからこそ、いまの気持ちに近い言葉のほうを選んで受け取ってかまいません。

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