本文は書き終えたのに、原稿用紙の1行目だけが空いたまま——読書感想文で最後まで残りがちなのが題名です。結論から言うと、題名は本文を書き終えてから決めるのが正解で、「〜を読んで」のままでも規定違反にはなりません。とはいえ、ほんの少し工夫するだけで読み手の受ける印象は変わります。この記事では、そのまま使える題名の5つの型と例、どうしても浮かばないときの3ステップ、そして原稿用紙のどこにどう書くかまでをまとめました。
読書感想文の題名は「本文を書いたあと」に決めるのが正解
題名を先に決めようとして手が止まっているなら、いったん飛ばして本文から書きましょう。題名は本文の要約ではなく、自分がいちばん伝えたいことを掲げる看板だからです。何を伝えたいかは、書いているうちに固まっていきます。
順番は「本文を書く → 読み返す → いちばん言いたい一文を探す → 題名にする」。この流れなら、題名で悩む時間はぐっと短くなります。
「◯◯を読んで」のままでも問題ない理由
まず安心してほしいのは、題名を凝らなければ減点される、という決まりはないという点です。青少年読書感想文全国コンクールの応募規定にも、題名の付け方に関する指定はありません。学校の宿題であればなおさら、担任の先生の指示がすべてです。
「『走れメロス』を読んで」という形は、何について書いた文章かが一目で伝わります。読み手にとって親切な題名であることは間違いありません。
ただし、クラス全員が同じ形になりやすいのも事実です。ずらりと並んだときに自分の文章に目を留めてほしいなら、次の章で紹介する型を試してみてください。
先に題名を決めると本文が書けなくなる
題名を先に決めてしまうと、そのあとの作業が「決めた題名に合う内容を探す」に変わってしまいます。本を読んだときの気持ちは、書きながら少しずつ形を変えていくものです。最初に立てた看板が、書き上がった中身と合わなくなることは珍しくありません。
合わなくなったときに困るのは、題名ではなく本文のほうです。題名に引きずられて、本当は書きたかったことを削ってしまう——これがいちばんもったいない失敗といえます。
- おすすめ:本文を書き終えて、読み返したあと
- よくない:本を読み終えた直後、本文を書く前
- 下書き段階では「仮題」で構いません。清書の前に決め直せば十分です
感想文そのものの組み立て方に迷っている場合は、構成から解説した記事もあわせてどうぞ。

そのまま使える題名の5つの型【例つき】
題名の付け方は、大きく5つの型に整理できます。どれもゼロから発想する必要はなく、書き上げた本文のなかから材料を拾ってくるだけで作れるものばかりです。自分の感想文に合いそうな型を1つ選んでください。

(1) 心に残った一言をそのまま使う
本のなかで印象に残ったセリフや言葉を、かぎかっこ付きで題名にする型です。読み手は「どんな場面で出てきた言葉だろう」と気になり、続きを読みたくなります。もっとも作りやすく、学年を選びません。
- 「大丈夫、ひとりじゃないよ」
- 「あきらめるのは、まだ早い」
- 「ぼくは、にげない」
使うときの条件がひとつあります。題名にした言葉について、本文のなかでもきちんと触れることです。題名だけに登場して本文に出てこないと、読み手が置いていかれてしまいます。
(2) 問いかけにする
本を読んで自分の中に生まれた疑問を、そのまま題名にする型です。答えを本文で示す構成になるため、感想文全体に筋が通りやすくなります。中学年以上に向いています。
- ほんとうの勇気って、なんだろう
- なぜ、あの人は最後まであきらめなかったのか
- わたしなら、どうしただろう
問いかけ型を選んだら、本文の終わりで自分なりの答えを出しておきましょう。問いを投げたまま終わると、読み終えたときに物足りなさが残ります。
(3) 自分の変化を書く
読む前と読んだあとで、自分の何が変わったかを題名にします。読書感想文でいちばん評価されるのは「その本を読んで自分がどう動いたか」なので、この型はそれを最初に掲げる形になります。高学年から中学生・高校生向きです。
- きらいだった算数が、すこし好きになった日
- 「ふつう」を疑ってみたら
- わたしが「がまん」をやめた理由
ポイントは、変化を具体的な言葉で書くことです。「成長できた」「学びがあった」のような言い方は、どの本にも当てはまってしまい、題名としての力を失います。
(4) キーワード+副題にする
前半に感想文の核となる言葉を置き、後半に本の題名を添える二段構えの型です。落ち着いた印象になるため、コンクールに出す場合にも扱いやすい形といえます。
- 消えない約束 『走れメロス』を読んで
- 勇気のかたち 『◯◯』を読んで
- もう一人のわたしへ 『◯◯』を読んで
前半と後半のあいだは、1マス空けるのがもっとも無難です。ダッシュ(——)や縦棒を使う書き方もありますが、原稿用紙では扱いに迷いやすいので、迷ったら空白にしておきましょう。
(5) 「〜を読んで」+ひとこと
もっとも手堅い型です。定番の形を残したまま、後ろにひとこと足すだけで、ありきたりな印象がやわらぎます。低学年でも無理なく作れます。
- 『◯◯』を読んで考えたこと
- 『◯◯』を読んで見つけた答え
- 『◯◯』を読んで、ぼくが決めたこと
どの型を選ぶか迷ったら、学年を目安にするとしぼり込めます。
| 型 | 向いている学年 | 特徴 |
|---|---|---|
| (1) 心に残った一言 | 全学年 | 本文から拾うだけで作れる |
| (2) 問いかけ | 中学年以上 | 感想文全体に筋が通る |
| (3) 自分の変化 | 高学年以上 | 評価されやすい観点を掲げられる |
| (4) キーワード+副題 | 高学年以上 | 落ち着いた印象。コンクール向き |
| (5)「〜を読んで」+ひとこと | 全学年(とくに低学年) | 定番の形を崩さず作れる |
題名が決まったら、次に迷いやすいのが1文目です。書き出しのパターンは別の記事でくわしくまとめています。

題名が思いつかないときの3ステップ
型を眺めても浮かばないときは、発想しようとするのをやめて、本文から機械的に取り出す作業に切り替えます。3つの手順を踏むだけで、候補はほぼ確実に出てきます。
書き上げた本文を最初から読み直し、自分がいちばん力を入れて書いた文を1つだけ選んで線を引きます。迷ったら、書いていていちばん時間がかかった段落から選んでください。
選んだ文から、説明の部分や「〜と思いました」といった結びを落とします。残った芯だけにすると、それがそのまま題名の候補になります。20字を超えたら、まだ削れる余地があります。
最後に声に出します。言いにくい、意味が伝わらない、耳で聞いて内容が浮かばない——どれかに当てはまったら別の候補に差し替えます。読みやすさは、そのまま伝わりやすさになります。
コツは、候補を1つに絞らず3つ出してから選ぶことです。並べて比べると、どれがいちばん中身に合っているかが見えてきます。家族に3つとも見せて、いちばん気になったものを選んでもらう方法も有効です。
原稿用紙のどこに書く?題名の書式ルール
題名の中身が決まったら、あとは原稿用紙のきまりに沿って書くだけです。ここは自由に工夫する場所ではなく、決まった形があります。先に押さえておけば、清書でやり直す手間がなくなります。
題名・名前のマス目の空け方
縦書きの原稿用紙では、1行目に題名、2行目に名前、3行目から本文を書くのが基本の形です。それぞれ空けるマスの数が決まっています。
| 行 | 書く内容 | マスの空け方 |
|---|---|---|
| 1行目 | 題名 | 上を2〜3マス空けてから書き始める |
| 2行目 | 学年・組・名前 | 下が1〜2マス空くように書く。姓と名の間は1マス空ける |
| 3行目〜 | 本文 | 書き出しは1マス空ける。段落が変わるたびに1マス空ける |

かぎかっこ・句読点・数字の扱い
題名に記号を使うときのきまりも、あわせて確認しておきましょう。細かい点ですが、ここが整っていると全体がぐっと読みやすくなります。
- 本の題名を入れるときは二重かぎかっこ『 』で囲みます。セリフを引用するときは通常のかぎかっこ「 」です
- 題名の最後に句点(。)は付けません
- 縦書きでは、数字は漢数字で書きます(「3つの約束」ではなく「三つの約束」)
- 感嘆符(!)や疑問符(?)を使ったあとは、1マス空けるのが一般的です
- 1行に収まらないほど長くなったら、題名そのものを短くします
なお、青少年読書感想文全国コンクールの応募規定では、題名・学校名・氏名は本文の字数に数えません。字数が足りるか心配で題名を長くする、といった調整は不要です。
やってはいけない題名のNG例4つ
最後に、避けたい題名の型を挙げておきます。どれも直し方がはっきりしているので、思い当たるものがあればその場で手を入れられます。
| NG例 | なぜよくないか | 直し方 |
|---|---|---|
| 『走れメロス』 | 本の題名そのまま。誰の感想文かが伝わらない | 後ろに「を読んで」+ひとことを足す |
| メロスが友を助けた話 | 結末を明かしている(ネタバレ) | 結末ではなく、自分が感じたことを書く |
| この本を読んでわたしが強く感じた友情の大切さについて | 長すぎて1行に収まらない | 芯だけ残して20字以内に削る |
| 感動しました | どの本にも当てはまり、中身が伝わらない | 何にどう感動したのかを具体的な言葉にする |
4つのNGに共通しているのは、読み手のことが考えられていない点です。題名を決めたら、その本を読んでいない人が見てどう感じるかを一度想像してみてください。
そもそも書きたいことが見つからない、という段階でつまずいている場合は、本選びから見直すという手もあります。

よくある質問
- 題名は必ず自分で考えないといけませんか?
-
いいえ。「『◯◯』を読んで」の形のままでも構いません。青少年読書感想文全国コンクールの応募規定にも、題名を工夫するようにという指定はありません。学校の宿題であれば、担任の先生の指示に従ってください。
- 題名は何文字くらいが目安ですか?
-
20字前後を目安にしてください。原稿用紙の1行に収まる長さです。上を2〜3マス空けて書き始めるため、実際に使えるのは17〜18マスほどになります。
- 本の題名を自分の題名に入れてもいいですか?
-
問題ありません。その場合は二重かぎかっこ『 』で囲みます。ただし本の題名だけを書くと、感想文の題名としては中身が伝わらないため、ひとこと添えるのがおすすめです。
- 題名は本文の字数に含まれますか?
-
青少年読書感想文全国コンクールの応募規定では、題名・学校名・氏名は字数に数えないとされています。学校独自の宿題の場合は数え方が違うことがあるので、指示を確認してください。
- 下書きの段階では題名を空けたままでもいいですか?
-
はい。むしろそのほうが進みます。下書きでは「仮」と書いておくか空欄のままにして、本文を書き終えてから決めましょう。清書のときに1行目へ書き入れれば間に合います。
まとめ|題名は本文から拾えば必ず見つかる
読書感想文の題名は、ひらめきで生み出すものではありません。自分が書いた本文のなかに材料がそろっているので、そこから拾い出せば必ず形になります。
- 題名は本文を書き終えてから決める。先に決めると本文が縛られる
- 「〜を読んで」のままでも規定違反ではない。工夫は任意
- 型は5つ。心に残った一言/問いかけ/自分の変化/キーワード+副題/「〜を読んで」+ひとこと
- 浮かばないときは、本文の一文を20字以内に削って声に出す
- 原稿用紙は1行目が題名(上を2〜3マス空ける)、2行目が名前、3行目から本文
迷ったら「本文でいちばん力を入れて書いた一文」に戻ってください。そこを短くした言葉が、その感想文にいちばんふさわしい題名です。
読書感想文が片づいたら、残りの宿題の進め方もあわせて確認しておくと、夏休みの後半が楽になります。


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