秋から春にかけて、細い枝いっぱいに小さな釣鐘形の花を咲かせるエリカ。エリカの花言葉は「孤独」「寂しさ」「博愛」です。「孤独」「寂しさ」は、英名ヒースが指すイギリスの荒野に由来します。一方の「博愛」は、小さな花が寄り添うように群れて咲く姿から生まれた言葉です。
この記事では、まず花言葉の一覧と色別・種類別の意味を紹介します。続いて、「裏切り」という怖い意味が言われる理由と、西洋の言い伝えも取り上げます。名前の由来やよく似たカルーナとの違い、贈るときのコツ、誕生花の日付もあわせてまとめました。
エリカの花言葉は「孤独」「寂しさ」「博愛」|意味の一覧
「孤独」と「寂しさ」は似た言葉ですが、少し向きが違います。孤独は、仲間や心を通わせる相手がそばにいない境遇までを含めて表す言葉です。寂しさは、その中で生まれる満たされない気持ちのほうに焦点があります。「博愛」の「博」は「広い」という意味で、特定の誰かではなく、多くの人へ広く向ける愛を指します。恋人に思いを伝える言葉というより、友人や家族、お世話になった人への感謝に合う言葉です。
エリカの花言葉は、さびしさを感じさせる言葉と、あたたかい言葉の両方を持っています。日本でよく紹介されるものを、全体の花言葉・色別・種類別に分けて整理しました。
エリカの花言葉一覧
| 区分 | 花言葉 | 由来のイメージ |
|---|---|---|
| エリカ全体 | 孤独・寂しさ | 英名ヒースが指す、イギリスの荒れ地 |
| エリカ全体 | 博愛 | 小さな花が寄り添うように群れて咲く姿 |
| エリカ全体 | 心地よい言葉 | やさしく揺れる小花の印象 |
| 白いエリカ | 幸福な愛 | 白い小花が丸くまとまって咲く可憐な姿 |
| 紫のエリカ | 静寂・閑寂 | 落ち着いた色合いと、ひっそりした雰囲気 |
| ジャノメエリカ | 裏切り | はっきりした由来は伝わっていない |
| スズランエリカ | 幸せな愛 | スズランに似た白く丸い花 |
| アワユキエリカ | 協力・無欲・告白 | 雪のような白い小花が集まって咲く姿 |
このように、エリカには「孤独」から「幸福な愛」まで、印象の大きく異なる言葉が並んでいます。どの面を受け取るかは、色や種類、贈る場面しだいといえるでしょう。
「孤独」「寂しさ」は荒野に咲く姿から
エリカは英語で「heath(ヒース)」と呼ばれます。ヒースはもともと、イギリスやアイルランドに広がる、やせて農耕に向かない荒れ地を指す言葉です。そこに生える背の低い木々も、同じくヒースと呼ばれるようになりました。
人の手がほとんど入らない荒野で、冷たい風に吹かれながら花を咲かせる姿。そこから「孤独」「寂しさ」という花言葉が生まれました。ヒースの荒野は、エミリー・ブロンテの小説『嵐が丘』の舞台を思わせる風景としても知られています。
「博愛」「心地よい言葉」など前向きな意味も
エリカの1輪の花は、長さ数ミリから1cmほどととても小さな花です。その小花が枝を埋めつくすように、たくさん寄り集まって咲きます。多くの花が身を寄せ合う様子が、分けへだてなく人を愛する「博愛」につながりました。
「心地よい言葉」は、風にそよぐ小花のやさしい印象から添えられた言葉です。「孤独」という言葉だけが目立ちがちですが、こうした前向きな意味もあわせて知っておくと、エリカの印象はずいぶん変わるはずです。
エリカの花言葉は「孤独」だけではありません。荒野に咲く姿からの「孤独」と、寄り添って咲く小花からの「博愛」、この2つの顔を持つ花です。
色別・種類別のエリカの花言葉
色別の花言葉が伝えられているのは、白と紫です。また、エリカ属は700種類以上ある大きな仲間で、代表的な品種には個別の花言葉がついているものもあります。
店頭の鉢には、和名ではなく学名をカタカナにした名前でラベルが付く場合もあります。ジャノメエリカは「エリカ・カナリクラータ」、スズランエリカは「エリカ・フォルモーサ」の名前で並ぶことがあり、表記が違っても中身は同じ品種です。フォルモーサはラテン語で「美しい」を意味する言葉で、白い小花をびっしりつける姿によく合う名前です。学名で書かれた鉢でも、和名で紹介されている花言葉をそのまま当てはめて構いません。
白・紫・ピンクの色別の意味
白いエリカの花言葉は「幸福な愛」です。白く小さな花が丸くまとまって咲く、清らかで愛らしい姿からつけられました。エリカの中ではいちばん贈り物に使いやすい色で、結婚や婚約のお祝いにもなじみます。
紫のエリカは「静寂」「閑寂」です。閑寂(かんじゃく)は、ひっそりと静かで落ち着いた様子を表す言葉です。紫の深い色合いが持つ上品で静かな雰囲気から連想されました。さびしいというより、穏やかで凛とした印象の言葉です。
園芸店でもっともよく見かけるピンクのエリカには、色ごとの花言葉はあまり紹介されていません。ピンクのエリカを贈るときは、全体の花言葉である「博愛」や「心地よい言葉」を添えるとよいでしょう。
ジャノメエリカ・スズランエリカなど種類別の意味
日本でもっとも広く流通しているのがジャノメエリカです。淡いピンクの小花の中心に黒い葯(やく)がのぞき、それが蛇の目模様のように見えることから名づけられました。花言葉は「裏切り」で、エリカの怖い花言葉はこの品種のものとして紹介されるのが一般的です。資料によっては「幸運」「博愛」とあわせて挙げられ、意味の扱いには幅があります。
スズランエリカは、その名のとおりスズランに似た、白く丸い花を咲かせる品種です。花言葉は「幸せな愛」で、白いエリカの「幸福な愛」とほぼ同じ意味を持っています。名前の元になったスズランにも「再び幸せが訪れる」という花言葉があり、どちらも幸福を願う贈り物に向いています。

アワユキエリカは、淡雪のような白い小花をびっしりとつける品種です。花言葉は「協力」「無欲」「告白」。小さな花が力を合わせるように咲く姿が「協力」に、控えめなたたずまいが「無欲」に重ねられています。

エリカの花言葉は怖い?「裏切り」の噂の真相
「エリカの花言葉は怖い」と言われるのは、ジャノメエリカに「裏切り」があるためです。ただし、エリカ全体の花言葉ではなく、品種のひとつについた意味にすぎません。必要以上に気にしなくてよい花です。
この噂が広まりやすい背景には、「裏切り」を持つジャノメエリカが、国内でもっとも多く出回るエリカだという事情もあります。店頭では品種名を付けずに「エリカ」とだけ表示されていることもあり、花の名前で調べた人が品種の意味に行き当たります。また、「蛇」の字から不気味な印象を受けることもありますが、蛇の目は太い輪を描いた昔ながらの文様の名前で、江戸時代に広まった雨傘の「蛇の目傘」と同じ言葉です。
「裏切り」はどこから来た意味なのか
ジャノメエリカに「裏切り」がついた理由は、はっきりとは分かっていません。花言葉を紹介している資料を見ても、由来まで説明しているものは見当たらず、「なぜこの意味なのかは不明」とされるのが一般的です。
可憐な花の中心に黒い目のような模様がある、意外性のある見た目から連想されたと考える人もいます。ただ、これも推測の域を出ません。少なくとも、エリカという花そのものに不吉な言い伝えがあるわけではない点は押さえておきましょう。
「孤独」「寂しさ」も、相手を悪く言う意味ではなく、荒野の風景から生まれた言葉です。怖い花言葉を持つほかの花も気になる方は、意味別にまとめた一覧も参考にしてください。

西洋のヒースは「孤独」、白いヘザーは「幸運」
19世紀のイギリスで広まった花言葉では、heath(エリカ)に「solitude(孤独)」があてられていました。日本の「孤独」は、この西洋の花言葉がそのまま伝わったものです。
一方、イギリス、とくにスコットランドでは、よく似た仲間のheather(ヘザー)に幸運の言い伝えがあります。荒野でまれに見つかる白いヘザーは幸運のお守りとされ、花嫁のブーケに小枝を添える習わしもあります。この言い伝えが広まった背景には、スコットランドを愛したヴィクトリア女王の影響があったといわれます。
エリカはどんな花?名前の由来と特徴
エリカは、ツツジ科エリカ属の常緑低木です。名前の由来や原産地、よく似たカルーナとの違いを知っておくと、花言葉の背景がより立体的に見えてきます。
人名の「エリカ」と響きは同じですが、ヨーロッパや英語圏の女性名 Erica は男性名 Eric(エリック)の女性形で、植物名とはもともと別の言葉です。また、植物のエリカには、鉢花の小さな株からは想像しにくい大型の種類もあります。地中海沿岸などに自生するエリカ・アルボレア(ツリーヒース)は高さ数メートルに育ち、地中の根にできるこぶは、硬く熱に強い木材として加工品に使われます。
名前の由来と別名「ヒース」
「エリカ(Erica)」という名前は、この植物を指す古い呼び名に由来します。ラテン語の erica、またはギリシャ語の ereike(エレイケー)がもとになったとされ、その語源を「砕く」という意味の言葉に求める説もあります。
別名の「ヒース」は英語名で、前の章で紹介したとおり荒れ地とそこに生える植物を指します。ドイツ語では「ハイデ(Heide)」と呼ばれ、日本でもこの名前で紹介されることがあります。いずれも荒野の風景と結びついた呼び名で、花言葉の「孤独」とひと続きになっています。
原産地・種類・花の時期
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | ツツジ科エリカ属の常緑低木 |
| 原産地 | 大部分が南アフリカ。ほかにヨーロッパ、地中海沿岸など |
| 種類 | 700種類以上 |
| 花の時期 | 品種によって異なり、冬から春に咲くものが多い |
| 花色 | ピンク、白、紫、赤、黄など |
| 別名 | ヒース、ハイデ |
| 花言葉 | 孤独、寂しさ、博愛、心地よい言葉など |
エリカ属は700種類以上が知られ、その大部分が南アフリカ原産です。ヨーロッパに自生する種類もあり、「荒野のヒース」はこちらのグループにあたります。日本には大正時代ごろから入ってきたとされ、ジャノメエリカは暖かい地域の庭木としても植えられています。
花の時期は品種によってさまざまですが、鉢植えが店頭に多く並ぶのは秋から冬にかけてです。ほかの花が少ない寒い時期に、枝いっぱいに咲く姿を楽しめるのがエリカの魅力です。
カルーナ(ギョリュウモドキ)との違い
エリカとよく混同されるのが、カルーナです。和名はギョリュウモドキといい、1属1種の常緑低木です。かつてはエリカ属に含まれていましたが、19世紀に別の属として独立しました。英語の「heather」は、本来このカルーナを指す名前です。
見分けるポイントは、色づいて見える部分です。エリカは花びら(花冠)が大きく目立つのに対し、カルーナは花びらが小さく、代わりに萼(がく)が大きく色づいて花のように見えます。園芸店では両方とも秋から冬に並ぶため、ラベルで名前を確かめておくと安心です。
エリカを贈るときのポイントと誕生花
エリカは、冬の贈り物にぴったりの鉢花です。「孤独」の意味が少し気になる場合も、色選びとメッセージの添え方を工夫すれば、あたたかい気持ちをきちんと伝えられます。
ジャノメエリカの花期は11月から4月ごろまでと長く、贈ってから数か月は花を見てもらえます。一方、鉢で贈ることの多い花なので、入院している人の見舞いの品には選ばないようにします。土に根を張る鉢花は、「根付く」の音が「寝付く」に重なり、病気が長引く印象を与えるとして昔から敬遠されてきました。
エリカが誕生花になっている日
エリカは誕生花としても紹介されていますが、日付は資料によって違います。エリカ全体としては8月5日や9月17日、スズランエリカは2月10日、ジャノメエリカは2月15日や11月25日に挙げる資料があります。
誕生花は1日に複数の花が割り当てられていて、どれを代表にするかが資料ごとに異なります。当ブログの月別の一覧では、これらの日に別の花を紹介している場合もあります。誕生日にエリカを贈るなら、「この日の誕生花のひとつ」と考えて選ぶとよいでしょう。

「孤独」が気になるときのメッセージの添え方
花言葉にくわしい相手に贈るときは、前向きな意味をカードでひと言添えておくのが確実です。白いエリカなら「幸福な愛」、ピンクなら「博愛」を軸にすると、受け取る側も安心できます。たとえば、次のような書き方があります。
- 「白いエリカの花言葉は『幸福な愛』。おふたりの新しい毎日が、幸せでいっぱいになりますように」
- 「花言葉は『博愛』。誰にでもやさしいあなたにぴったりだと思って選びました」
- 「寒い季節に元気に咲く花だそうです。この冬も、あたたかく過ごせますように」
反対に、転勤や引っ越しで離れていく人への贈り物には、「孤独」「寂しさ」を連想させるため、エリカは主役にしないほうが無難です。門出を祝う場面に向く花は、別れの花言葉の記事で紹介しています。

冬の鉢植えギフトとして贈るなら
エリカは切り花よりも、鉢植えで出回ることの多い花です。秋から冬にかけて花つきのよい鉢が店頭に並ぶので、クリスマスや年末年始の贈り物、冬の誕生日のプレゼントに選びやすいでしょう。小さな花が株いっぱいに咲く姿は、写真で見るよりもずっと華やかです。
冬の鉢花としては、同じ季節に出回る柊と組み合わせるのもおすすめです。柊はトゲのある葉が魔よけになるとされ、クリスマスの飾りにも使われます。エリカのやわらかい小花と、柊のつやのある緑の葉は、冬らしい寄せ植えによく合います。

エリカの花言葉についてよくある質問
- エリカの花言葉に良い意味はありますか?
-
あります。エリカ全体の「博愛」「心地よい言葉」のほか、白いエリカには「幸福な愛」、スズランエリカには「幸せな愛」という前向きな花言葉があります。
- エリカとヒースは同じ花ですか?
-
ヒースはエリカの英語名で、同じ植物を指します。ただし英語圏では、よく似たカルーナ(heather)もまとめてヒースやヘザーと呼ぶことがあります。
- エリカの怖い花言葉は何ですか?
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ジャノメエリカの「裏切り」です。由来ははっきりしておらず、エリカ全体の花言葉ではありません。「孤独」「寂しさ」も、荒野に咲く姿から生まれた言葉です。
- エリカはいつ咲く花ですか?
-
品種によって異なりますが、冬から春に咲くものが多い花です。鉢植えは秋から冬にかけて多く出回ります。
まとめ
エリカの花言葉は「孤独」「寂しさ」「博愛」です。「孤独」「寂しさ」は英名ヒースが指す荒野の風景から、「博愛」は小さな花が寄り添って咲く姿から生まれました。色別では白が「幸福な愛」、紫が「静寂」「閑寂」です。
怖いとされる「裏切り」は、ジャノメエリカという品種についた意味です。西洋では、仲間の白いヘザーが幸運のお守りとして大切にされてきました。
贈り物にするなら、白いエリカの「幸福な愛」や、全体の「博愛」をカードに添えるのがおすすめです。寒い季節に枝いっぱいに咲く小さな花で、あたたかい気持ちを届けてみてください。

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