ハルジオン(春紫苑)の花言葉は「追想の愛」です。咲く前のつぼみが、うつむくように下を向いている姿から、昔の恋や大切な人を思い返す様子が重ねられました。「貧乏草」という少し気になる別名もありますが、花言葉そのものに怖い意味はありません。
この記事では、花言葉の意味と由来、別名「貧乏草」の理由、植物としての特徴、よく似たヒメジョオンとの見分け方と花言葉、そしてハルジオンの花言葉が似合う場面までをまとめました。
ハルジオンの花言葉は「追想の愛」|意味と由来
ハルジオンの花言葉としてよく紹介されているのは「追想の愛」のひとつです。色ごとの花言葉や、いくつもの花言葉が並ぶ花とは違い、この一語でハルジオンの印象が語られてきました。
西洋の花言葉が日本で広まりだしたのは明治時代のことで、ハルジオンが海を渡ってきた大正時代は、それより後にあたります。「追想の愛」をいつ、だれが名付けたのかを示す資料は少なく、はっきりしたことは分かっていません。
「追想の愛」が表す意味
「追想」は、過ぎ去ったことや人を思い出してしのぶことを指す言葉です。「追想の愛」は、かつての恋や、もう会えない人への愛情を、心の中で静かに思い返す気持ちを表しています。
相手に気持ちを伝える言葉というより、思い出す側の心に寄り添う花言葉です。卒業や引っ越しで離れた人、昔の恋人、亡くなった家族など、向ける相手によって受け取り方が少しずつ変わります。明るい恋の言葉ではありませんが、悲しみだけを表す言葉でもなく、懐かしさと温かさが混ざった花言葉といえます。
由来はうつむいて咲くつぼみ
ハルジオンのつぼみは、茎の先で首を垂れるように下を向いています。花が開く直前になると少しずつ起き上がり、咲いたときには上を向くのが特徴です。
このうなだれたつぼみの姿が、うつむいて昔のことを思い返している人の様子に見立てられ、「追想の愛」という花言葉につながったと紹介されています。道ばたで見かけたときは、咲いている花だけでなく、まだ開いていないつぼみの向きにも目を向けてみてください。

シオン(紫苑)の花言葉とのつながり
ハルジオンという名前は「春に咲く紫苑(シオン)」という意味です。秋に咲くシオンには「追憶」「君を忘れない」という花言葉があり、ハルジオンの「追想の愛」は、このシオンの花言葉から連想されたものだとする説明もあります。
シオンの花言葉は、亡き父を忘れまいと墓のそばにシオンを植えた弟の話が、『今昔物語集』に残っていることと結びつけて語られます。名前を分け合う2つの花が、どちらも「思い出す気持ち」を表す花言葉を持っているのは興味深い点です。シオンの花言葉と由来の物語は、次の記事で詳しく紹介しています。

英語名と海外での花言葉
ハルジオンは英語で「Philadelphia fleabane(フィラデルフィア・フリーベイン)」と呼ばれます。学名の種小名 philadelphicus も、アメリカの都市フィラデルフィアにちなんだものです。
一方、海外の花言葉については、バラやスミレのように広く知られたものがハルジオンには見当たりません。英語名や海外の資料から意味を探すより、贈り物やメッセージに添えるなら、日本で定着している「追想の愛」を軸にすると伝わりやすくなります。
ハルジオンの花言葉は「追想の愛」。うつむいて咲くつぼみの姿と、名前を分け合うシオンの「追憶」が重なって生まれた、懐かしさを感じさせる花言葉です。
ハルジオンの花言葉は怖い?「貧乏草」の別名と縁起
ハルジオンの花言葉に、死や呪い、裏切りのような怖い意味はありません。「怖い」「縁起が悪い」と思われやすいのは、花言葉ではなく「貧乏草(びんぼうぐさ)」という別名のほうです。
「貧乏」の付く呼び名は「貧乏草」だけではなく、「ビンボウギク」と呼ぶ地方もあります。その一方で、「カンザシグサ」という別名が伝わる土地もあります。髪飾りのかんざしを名に持つ呼び方で、ハルジオンの別名がどれも縁起の悪いものとはかぎりません。
「貧乏草」と呼ばれる理由
ハルジオンは、地域によって「貧乏草」と呼ばれてきました。呼び名の理由にはいくつかの説があり、どれかひとつに決まっているわけではありません。よく紹介されるのは次のような説です。
- 摘んだり折ったりすると貧乏になる、という子どもの間の言い伝えから
- 手入れの行き届かない空き地や家の周りにも、どこからか生えてくることから
- 茎が中空で折れやすく、弱々しく見えることから
「摘むと貧乏になる」は、昔から子どもたちの間で語られてきた遊び半分の言い伝えです。実際に何かが起こるわけではありませんが、そう言われて育った人にとっては、少し気になる名前かもしれません。なお「貧乏草」の呼び名は、よく似たヒメジョオンにも使われることがあります。
贈り物にしてもいい?飾るときの注意
花言葉の面では、ハルジオンを贈っても問題はありません。ただ、贈り物として選ぶ前に知っておきたいことが2つあります。
1つめは、「貧乏草」の別名を知っている人もいることです。目上の人やお祝いの場面では、意図しない受け取り方をされる可能性があるため、別の花を選ぶほうが無難です。2つめは、花屋で切り花として並ぶことがほとんどない野の花だという点です。摘んで持ち帰ると比較的早くしおれやすく、花束にして贈るのには向いていません。
ハルジオンを楽しむなら、野に咲いている姿を眺めたり、写真や押し花にしたりして、花言葉と一緒に思い出を残す使い方が合っています。具体的な楽しみ方は、後半の「似合う場面と楽しみ方」で紹介します。
ハルジオンとはどんな花?名前の由来と基本情報
ハルジオンは、北アメリカ原産のキク科の植物です。日本には大正時代に観賞用の草花として持ち込まれ、その後、各地の道ばたや空き地、田畑のあぜなどに広がりました。春から初夏にかけて、白や淡いピンクの小さな花をたくさん咲かせます。
ハルジオンが属するムカシヨモギ属には、日本にもともと自生していた仲間もあります。本州の中部地方から東北地方に分布するアズマギク(東菊)がその一つです。花期はハルジオンと同じ4〜6月ごろで、直径3〜4cmほどの淡い紫の花を咲かせます。
ハルジオンの基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | ハルジオン(春紫苑) |
| 別名 | ハルジョオン、貧乏草 |
| 英名 | Philadelphia fleabane |
| 学名 | Erigeron philadelphicus |
| 分類 | キク科ムカシヨモギ属(エリゲロン属) |
| 原産地 | 北アメリカ |
| 開花期 | 4〜6月ごろ |
| 花色 | 白〜淡いピンク |
| 性質 | 多年草。冬は地面に葉を広げた「ロゼット」の姿で越す |
表には載せていませんが、草丈は30〜60cmほどになる草花です。花が咲くころには、大人のひざから腰くらいの高さまで茎がまっすぐ伸びます。
名前は「春に咲く紫苑」
ハルジオンの漢字表記は「春紫苑」です。秋に咲くシオン(紫苑)に花の形が似ていて、春に咲くことから、この名前が付けられました。名付けたのは植物学者の牧野富太郎だとされています。
よく似た花のヒメジョオン(姫女苑)と混同されて、「ハルジョオン」と呼ばれることも少なくありません。図鑑などで使われる正式な名前は「ハルジオン」で、「紫苑」の読み方がそのまま入っています。
ただし、名前を借りたシオンとは植物の仲間が異なり、シオンはシオン属、ハルジオンはムカシヨモギ属に分けられます。シオンは2m近くまで育つこともある秋の花で、ハルジオンとは背の高さも大きく違います。
園芸植物から身近な野の花へ
ハルジオンは、大正時代に「ピンク・フリーベイン」の名で園芸植物として日本へ持ち込まれました。当初は庭で育てる草花でしたが、繁殖力が強く、種や根から次々と増えて野生化しました。今では、春の道ばたで当たり前に見かける花になっています。
一方で、在来の植物と生育場所を奪い合うことから、外来種の問題として取り上げられることもあります。日本生態学会がまとめた「日本の侵略的外来種ワースト100」にも、ハルジオンは名前が挙がっています。かわいらしい見た目とは裏腹に、強い生命力を持った花です。
花の色と形の特徴
ハルジオンの花は直径2cmほどで、中心の黄色い部分のまわりを、糸のように細い花びらがびっしりと囲んでいます。花びらの色は白が基本ですが、淡いピンクに色づくものも多く見られます。
色ごとに異なる花言葉が定められている花ではないため、白でもピンクでも、花言葉は同じ「追想の愛」と考えてかまいません。ピンクの花はやわらかい印象、白い花は清楚な印象があり、写真に残すなら好みの色合いを探してみるのも楽しみ方のひとつです。
ハルジオンとヒメジョオンの違い|見分け方と花言葉
ハルジオンとヒメジョオンは、同じ北アメリカ原産のムカシヨモギ属で、白い小さな花の見た目がよく似ています。見分けるときは、茎の中、つぼみの向き、葉の付き方、咲く時期の4つを比べるのが確実です。
花の色は、見分けの決め手にはなりません。ハルジオンには白と淡いピンクの花があり、ヒメジョオンにも白のほか、うっすら紫を帯びた花が見つかります。色が重なり合うので、花の色だけを頼りにすると取り違えやすくなります。
見分け方は茎・つぼみ・葉・咲く時期
| 比べる点 | ハルジオン | ヒメジョオン |
|---|---|---|
| 茎の中 | 空洞(中空) | 白いわたのような髄が詰まっている |
| つぼみ | 下を向いてうなだれる | あまり下を向かない |
| 葉の付き方 | 葉の付け根が茎を抱くように付く | 葉の付け根は茎を抱かない |
| 花びら | 糸のように細く、数が多い | ハルジオンより幅があり、数は少なめ |
| 主に咲く時期 | 春(4〜6月ごろ) | 初夏〜秋(6〜10月ごろ) |
| 花言葉 | 追想の愛 | 素朴で清楚 |
いちばんわかりやすいのは茎の中です。茎を少し折ってみて、中が空洞ならハルジオン、白いものが詰まっていればヒメジョオンです。茎を折らずに見分けたいときは、つぼみがうなだれているか、葉の付け根が茎を包み込んでいるかを確認しましょう。
咲く時期は一部重なるため、5〜6月ごろは両方が並んで咲いていることもあります。春の早い時期に咲いていればハルジオン、真夏や秋まで咲いていればヒメジョオンと考えると、おおよその見当がつきます。

ヒメジョオンの花言葉は「素朴で清楚」
ヒメジョオン(姫女苑)の花言葉は「素朴で清楚」です。小さな白い花が飾り気なく咲く姿が、そのまま言葉になったと考えられます。ハルジオンの「追想の愛」が心の中の思い出に向かう言葉なのに対し、ヒメジョオンは花の見た目の印象を表した、さっぱりとした花言葉です。
ヒメジョオンは、ハルジオンより早い江戸時代の終わりごろ(幕末)に、観賞用として日本へ入ってきたとされています。名前の「姫」は小さいことを表すといわれます。当サイトの誕生花一覧では、ヒメジョオンを11月18日の誕生花として「素朴で清楚」の花言葉とともに紹介しています。

なお、ハルジオンやヒメジョオンの仲間は学名で「エリゲロン(Erigeron)」と呼ばれます。ただ、園芸店で「エリゲロン」の名前で売られているのは、多くの場合、白からピンクに色が変わる小花のゲンペイコギク(源平小菊)です。当サイトの5月の誕生花一覧では、5月27日のエリゲロンを「遠くから見守ります」の花言葉で紹介しています。

ハルジオンの花言葉が似合う場面と楽しみ方
春のハルジオンは、戦後に各地へ広がり、家の近くの空き地や道ばたで長く見られてきた花です。子どものころの通学路や遊び場の景色と結びつきやすく、昔を振り返る言葉に添えれば、読む人も自分の思い出の景色と重ねて受け取れます。
ハルジオンは、花束にして贈るより、思い出と一緒にそっと残すのが似合う花です。「追想の愛」という花言葉を生かせる場面と、身近な野の花ならではの楽しみ方を紹介します。
思い出を振り返る手紙や投稿に添える
「追想の愛」は、過ぎた日々を大切に思う気持ちを表す花言葉です。花そのものを手渡さなくても、言葉として添えるだけで気持ちが伝わります。たとえば、次のような場面に向いています。
- 春の通学路や散歩道の思い出をつづる手紙やSNSの投稿に
- 卒業や引っ越しで離れた友人へ、懐かしい季節を振り返るメッセージに
- 春に亡くなった家族やペットを、静かにしのぶ日の記録に
- 昔の写真を整理するときの、アルバムの一言メモに
一方で、告白やプロポーズのように、これからの気持ちを伝える場面には向きません。「追想」は過去を振り返る言葉なので、受け取った人が「終わった恋」のように感じてしまうおそれがあります。お祝いの場面では、前向きな花言葉を持つ別の花を選びましょう。
押し花や写真で残す
ハルジオンの花は小さく平たいので、押し花にしやすい花です。咲いたばかりの花を選び、ティッシュペーパーや新聞紙に挟んで、厚い本などで重しをして数日から1週間ほど置くと、細い花びらまできれいに残ります。しおりやカードに貼れば、花言葉と一緒に春の思い出を手元に残せます。
写真に撮るなら、満開の花だけでなく、うつむいたつぼみも一緒に写すのがおすすめです。花言葉の由来になった姿をそのまま残せるので、あとで見返したときに「追想の愛」の意味も思い出せます。同じように春の道ばたで見つけられる小さな野の花には、空色の花を咲かせるオオイヌノフグリもあります。

曲名の「ハルジオン」で知った人へ
「ハルジオン」という名前を、花より先に曲名で知ったという人もいるでしょう。BUMP OF CHICKEN や YOASOBI には「ハルジオン」というタイトルの楽曲があり、曲をきっかけに花言葉を調べる人も少なくありません。
曲の中で花言葉がどう扱われているかは、作り手がはっきり説明しているわけではないため、聴く人それぞれの受け取り方にゆだねられています。ただ、うつむいて咲くつぼみと「追想の愛」という花言葉を知ってから聴き直すと、また違った情景が浮かんでくるかもしれません。
ハルジオンの花言葉に関するよくある質問
- ハルジオンの花言葉に怖い意味はありますか?
-
花言葉に怖い意味はありません。花言葉は「追想の愛」です。「縁起が悪い」と言われるのは、花言葉ではなく「貧乏草」という別名のほうです。
- 「ハルジオン」と「ハルジョオン」はどちらが正しいですか?
-
正式な名前は「ハルジオン(春紫苑)」です。よく似たヒメジョオン(姫女苑)と混同されて「ハルジョオン」と呼ばれることがありますが、同じ花を指しています。
- ハルジオンとヒメジョオンは花言葉も同じですか?
-
違います。ハルジオンは「追想の愛」、ヒメジョオンは「素朴で清楚」です。見た目は似ていますが、茎の中が空洞ならハルジオン、詰まっていればヒメジョオンと見分けられます。
- ハルジオンの花はいつ咲きますか?
-
4〜6月ごろの春から初夏に咲きます。冬は地面に葉を広げたロゼットの姿で越し、春になると茎を伸ばして花を咲かせます。
- ハルジオンは花屋で買えますか?
-
切り花として花屋に並ぶことはほとんどありません。道ばたや空き地に自生している野の花なので、眺めたり、自分で摘んで押し花にしたりして楽しむのが一般的です。
まとめ
ハルジオン(春紫苑)の花言葉について、要点を振り返ります。
- 花言葉は「追想の愛」。うつむいて咲くつぼみの姿が由来とされる
- 名前は「春に咲く紫苑」。シオンの花言葉「追憶」とのつながりも語られる
- 花言葉に怖い意味はない。「貧乏草」は別名で、言い伝えにすぎない
- ヒメジョオンとは茎の中・つぼみ・葉・咲く時期で見分ける。花言葉は「素朴で清楚」
- 花束よりも、押し花や写真、手紙の言葉として思い出と一緒に残すのが似合う
ハルジオンは、春の道ばたで誰もが一度は目にしている身近な花です。その小さな花に「追想の愛」という花言葉が込められていると知ると、見慣れた景色も少し違って見えてきます。
次の春にハルジオンを見かけたら、うつむいたつぼみに目を留めて、大切な人との思い出を振り返ってみてください。

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