道ばたや春の野原で見かける、小さな白い花をつける薺(ナズナ)。別名「ぺんぺん草」として知られ、つい見過ごしてしまいがちな身近な草花です。そんなナズナにも、心に響くすてきな花言葉があるのをご存じでしょうか。
この記事では、薺(ナズナ)の花言葉とその意味、由来をやさしく解説します。「怖い意味があるのでは?」という噂の真相や、春の七草・誕生花との関わりまでまとめました。
薺(ナズナ)の花言葉は「あなたに私のすべてを捧げます」。実の形が「羊飼いの財布」に見えることに由来する、信頼と愛情を表す言葉です。
薺(ナズナ)の花言葉とその意味
薺(ナズナ)の花言葉は「あなたに私のすべてを捧げます」「あなたにすべてお任せします」です。どちらも、相手を深く信頼し、自分のすべてを委ねるという、まっすぐで温かい想いを表しています。
地味な印象のあるナズナですが、花言葉はとてもロマンチックです。プロポーズや、大切な人への気持ちを伝える場面にもふさわしい言葉といえます。
ナズナの花はどの株も白一色で、バラやチューリップのように色ごとの花言葉が用意されていません。「白いナズナは〜」といった色別の意味を探す必要はなく、上の2つを覚えておけば十分です。本数や渡し方で意味が変わるという決まりも見当たらないため、気軽に引用できる花言葉といえます。
主な花言葉「あなたに私のすべてを捧げます」
ナズナを代表する花言葉が「あなたに私のすべてを捧げます」です。見返りを求めず、相手にすべてを差し出すという、深い愛情と献身を表しています。
小さく素朴な花が、これほど情熱的な意味を持つのは意外に感じるかもしれません。だからこそ、知る人にとっては印象に残る花言葉です。
「捧げます」という言葉には、贈り物やお金のような形あるものだけでなく、時間や気持ちまで差し出すという響きがあります。長く連れ添った相手への感謝や、これから一緒に歩んでいく決意を伝える場面と相性のよい言葉です。
たとえば結婚記念日のカードに「ナズナの花言葉は『あなたに私のすべてを捧げます』だそうです」と一文添えるだけでも、伝えたい気持ちの輪郭がはっきりします。恋人だけでなく、育ててくれた家族や恩人へ向けて使っても不自然になりません。
「あなたにすべてお任せします」に込められた想い
もうひとつの花言葉「あなたにすべてお任せします」は、相手への絶対的な信頼を意味します。すべてを委ねられるほど信じている、という関係性が表れた言葉です。
愛情だけでなく、信頼や安心感も伝えられるのがナズナの花言葉の魅力といえるでしょう。
この花言葉が生きるのは、相手の判断を尊重すると伝えたい場面です。旅行の行き先や記念日の過ごし方を相手に決めてもらうときのように、任せること自体が信頼のしるしになる関係で意味を持ちます。
一方、頼みごとをする側の言葉として使うと、丸投げのような印象になりかねません。お願いの前置きではなく、すでに委ねている関係を確かめる言葉として使うと、意味がぶれずに伝わります。
西洋(英語)の花言葉
西洋にもナズナの花言葉があり、英語では「I offer you my all(私のすべてを捧げます)」と表現されます。日本の花言葉とほぼ同じ意味で、国を越えて同じ想いが受け継がれているのが分かります。
ナズナは英語で「Shepherd’s purse(羊飼いの財布)」と呼ばれます。この呼び名が、花言葉の由来とも深く関わっています。
学名の Capsella bursa-pastoris にも同じ見立てが入っています。Capsella はラテン語で「小箱」、bursa-pastoris は「羊飼いの財布」を意味し、英名はこの学名をそのまま訳した形といえます。
英語圏でもナズナは春先の道ばたに生える身近な草で、花屋の店先より野の草として親しまれています。カードに英語の花言葉をそのまま書き添えると、短い一文でも相手に意味が伝わります。

ナズナの花言葉の由来
ナズナの花言葉の由来は、実(種)の形にあります。ハート型の実が「羊飼いの財布」に見えることから、財布にまつわる言い伝えが花言葉につながったとされています。
花の色や香りではなく、実の姿から生まれている点がナズナの花言葉の特徴です。ナズナは茎の先で白い花を咲かせながら、下のほうから順に実を付けていくため、1本の茎で花と三角の実を同時に見られます。実は花が散ったあとも茎に残るので、目にとまる時間は花より長くなります。

実の形が「羊飼いの財布」に見えることから
ナズナの実は、三角形に近いハートのような形をしています。西洋ではこの形を、昔の羊飼いが持っていた革製の財布に見立てていました。
英名「Shepherd’s purse」も、まさに「羊飼いの財布」という意味です。身近な草花を、暮らしの道具になぞらえた発想がうかがえます。
実の大きさは5〜8ミリほどで、上の辺が二山にくぼんだ逆三角形をしています。中には1〜2ミリほどの平たい種が十数個入っていて、熟すと殻が二つに分かれて種がこぼれます。
見立ての元になったのは、口をひもで締める革袋のような形の財布です。中身が入ってふくらんだ袋のシルエットと、ナズナの実の形が重なって見えたことになります。
「相手に全てを預ける」習慣との関わり
言い伝えによると、昔の羊飼いは家に帰ると財布をそのまま妻や母親に預けていたとされています。財布を渡すことは、相手を信用してすべてを任せることを意味していました。
花言葉の由来:実が「羊飼いの財布」に似ている → 羊飼いは財布を信頼する家族に預けた → 「すべてを任せる・捧げる」という花言葉が生まれた、という流れだと考えられています。
この「財布をすべて預ける」という信頼の習慣が、「あなたにすべてお任せします」「すべてを捧げます」という花言葉の背景になっていると考えられています。
ナズナに怖い花言葉はある?噂の真相
結論からお伝えすると、薺(ナズナ)には怖い花言葉は基本的にありません。検索すると「怖い意味」を心配する声もありますが、ナズナの花言葉は信頼や愛情を表すものばかりです。
ナズナには「ぺんぺん草も生えない」という慣用句があります。草一本残らないほど荒れ果てた土地をたとえる言い方で、荒れ地にも生える丈夫な草だからこそ成り立つ表現です。情景としては荒涼としていますが、慣用句の印象と花言葉の意味は別のものとして切り分けて考えてかまいません。
結論:怖い意味は基本的にない
「あなたにすべてを捧げます」「すべてお任せします」という花言葉は、いずれも前向きで温かい意味を持っています。死や別れ、呪いといった不吉な意味を持つ言葉は見当たりません。
安心して、贈り物やメッセージのモチーフとして使える花といえます。
怖い意味が語られる花には、毒を持つ、神話や伝説で不吉な役回りを与えられている、といった背景があることが多いものです。ナズナは春の七草として食べられてきた草で、そうした背景をどれも持ち合わせていません。
白い小さな花と、家族に財布を預けるという由来。この2つがそろっているぶん、意味づけも穏やかなものにまとまっています。

「ぺんぺん草」と聞くと地味なイメージですが、花言葉はこんなにすてきだったんですね。


「真逆の意味」と言われる理由
ナズナの花言葉について「真逆の意味がある」と語られることがあります。これは、「すべてを捧げる」という強い愛情表現が、見方によっては重く受け取られる場合があるという指摘から来ているようです。
とはいえ、これは花言葉自体が怖いという意味ではありません。受け取る人との関係性によって印象が変わるという、ごく自然な話だと考えておけば十分です。
そもそも花言葉は、紹介する書き手によって言い回しに幅があります。同じ「すべてを捧げる」でも、献身と読むか、自分を差し出しすぎと読むかで印象は変わり、後者の読み方が「真逆」という言い方で紹介されることがあります。
どの読み方をしても、「相手を大切に思う」という一点は共通しています。真逆と語られる場合も、意味が反転しているのではなく、受け手の感じ方の幅を指していると考えると読み違えずにすみます。
薺(ナズナ)はどんな植物?
薺(ナズナ)は、アブラナ科ナズナ属の越年草です。道ばたや畑、空き地など、日本全国の身近な場所で見られる、とても丈夫な植物です。
1月中旬から5月中旬ごろにかけて、白い小さな花を咲かせます。春の訪れを告げる草花のひとつとして親しまれてきました。
秋に芽を出したあとは、地面に葉を放射状に広げた「ロゼット」の姿で冬を越し、暖かくなってから茎を伸ばします。冬のあいだ葉を低く保てることが、踏まれやすい道ばたでも生き残ってきた理由のひとつです。草丈は10〜50センチほどで、日当たりのよい乾いた場所を好みます。


ぺんぺん草・三味線草と呼ばれる理由
ナズナには「ぺんぺん草」「三味線草」という別名があります。これは、三角形の実の形が、三味線を弾く撥(ばち)に似ていることに由来します。
実の付いた茎を軽く回すと、実どうしが触れて「ぺんぺん」と音が鳴ります。子どものころ、この音遊びをした経験がある方も多いのではないでしょうか。
鳴らすときは、まず実の柄を1つずつ下へ軽く引き、実がぶら下がった状態にしておきます。そのうえで茎の上のほうを持ち、手のひらのあいだで転がすように回すと、実どうしが当たって音が出ます。
実がまだ青く小さい時期は、引いても柄が切れてしまいうまく鳴りません。実がふくらんで薄い茶色になる3月から4月ごろが、いちばん遊びやすい時期です。
名前「ナズナ」の由来
「ナズナ」という名前の由来には、いくつかの説があります。代表的なものは次の2つです。
- 「撫でたいほどかわいい菜」=「撫で菜(なでな)」が変化したという説
- 夏に枯れてしまうことから「夏無き菜(なつなきな)」が変化したという説
どちらの説も、人々がこの草花を身近に感じ、親しんできたことが伝わってきます。
前者は小さく愛らしい姿をかわいがる気持ちから、後者は夏を待たずに枯れてしまう一年の過ごし方から説明される説です。どちらも、この草を毎年見てきた人の観察が土台になっています。
漢字の「薺」は、平安時代初期の辞書『新撰字鏡』(901年ごろ成立)にも見えます。名前が付けられてから1000年以上、同じ姿で身近にあり続けてきた草だと分かります。
春の七草のひとつ
ナズナは、1年の無病息災を願って1月7日にいただく「春の七草」のひとつです。「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ」と古くから数えられてきました。
七草がゆに入れて食べる習慣があり、ナズナは食用にもなる身近な野草です。古くから日本人の暮らしに根づいてきたことが分かります。
この7種の組み合わせは、南北朝時代に四辻善成が著した『源氏物語』の注釈書『河海抄』の記述がもとになったとされます。歌のように区切って唱えると覚えやすく、その形で長く受け継がれてきました。
1月7日は五節句のひとつ「人日(じんじつ)」にあたります。中国で7種の菜を入れた汁物を食べた習慣が、日本の若菜摘みや粥の風習と結び付いて、今の七草がゆの形になりました。




ナズナが誕生花となる日
ナズナは、いくつかの日の誕生花として知られています。誕生花は出典によって日付が異なることがあり、ナズナも複数の日付が挙げられています。
誕生花には全国共通の取り決めがなく、国や地域ごとの言い伝えが混ざったまま日本に伝わっています。開花時期や神話との結び付きをもとに、書籍やサイトがそれぞれの一覧を作っているため、同じ花に複数の日付が並ぶことになります。
ですから「どれが正しいのか」を決めるより、「こういう日にも数えられている」と受け取るほうが実際的です。
1月17日ほかの誕生花
ナズナが誕生花とされる主な日は、次のとおりです。
| 日付 | 備考 |
|---|---|
| 1月17日 | 代表的な誕生花の日 |
| 1月12日 | 出典により記載あり |
| 2月3日・2月4日 | 出典により記載あり |
| 2月15日 | 出典により記載あり |
誕生日の贈り物やメッセージに、その日にちなんだ花としてナズナを添えるのもすてきです。「すべてを捧げます」という花言葉を一緒に伝えれば、より気持ちが伝わるでしょう。
1月17日や1月12日は、ちょうど七草がゆの時期と重なります。野原ではまだ葉のロゼットが目立つころなので、生花よりも押し花のカードや、ナズナを描いたイラストのほうが用意しやすい時期です。
2月3日・4日や2月15日は、地域によってはナズナが咲きはじめる時期にあたります。散歩の途中で咲いている株を見つけたら、写真を撮ってメッセージに添えるのもひとつの方法です。
よくある質問
- ナズナは庭やプランターで育てられますか?
-
日当たりがよく水はけのよい土であれば、鉢でも育てられます。秋に種をまいておけば、翌年の春に花と実を付けます。ただし種が細かく飛びやすいので、花壇では実が茶色くなる前に摘み取っておくと増えすぎを防げます。
- 摘んできたナズナは、どう飾ると形になりますか?
-
茎が細いので、口の狭い一輪挿しに数本まとめて挿すとまとまります。飾る前に茎の先を斜めに切り、しばらく水に浸けておくと花もちがよくなります。実の付いた茎は乾きやすく、水を入れずに挿しておくだけでも形がそのまま残ります。
- 七草がゆ以外にナズナを食べる方法はありますか?
-
やわらかい若い葉は、ゆでてからおひたしや和え物、みそ汁の具として食べられてきました。摘む場所は選ぶ必要があり、車の通りが多い道ばたや、除草剤がまかれている可能性のある場所は避けます。よく洗い、加熱してから使うのが基本です。
- ナズナとよく似た草を見分けるには?
-
実の形を見るのがいちばん確実です。ナズナの実は三角形に近いハート形ですが、マメグンバイナズナは丸っこく、タネツケバナは細長い棒のような実を付けます。花はどれも白くて小さいため、花だけで見分けようとすると迷いやすくなります。
まとめ
薺(ナズナ)の花言葉と意味について、由来や噂の真相までご紹介しました。最後に要点を振り返ります。
ナズナの花言葉は「あなたに私のすべてを捧げます」「すべてお任せします」。実が「羊飼いの財布」に見えることに由来し、怖い意味は基本的にありません。春の七草のひとつで、誕生花は1月17日ほかです。
使うときに覚えておくと役立つ点は、次の3つです。
- 色別・本数別の意味はないので、2つの花言葉だけ覚えれば足りる
- 三角の実が付いた茎を探すなら3月から4月ごろが見つけやすい
- 花屋にはほとんど並ばないため、押し花やカードに言葉を添えて使う
道ばたで見かける素朴な草花にも、これほど深い意味が込められています。次にナズナを見かけたら、ぜひこの花言葉を思い出してみてください。きっと、小さな花がより愛おしく感じられるはずです。
季節の楽しみ方としては、1月7日の七草がゆに入れる七草の中からナズナの葉を探してみるのがおすすめです。切れ込みの深い葉を見分けられるようになると、春の野原で三角の実を付けた株にも自然と目がとまるようになります。









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