子どもが夏休みに入ると、「先生も1か月以上休んでいるの?」と気になったことはないでしょうか。結論から言うと、子どもの夏休み期間は先生にとって原則として勤務日です。授業がないだけで、学校には出勤しています。
とはいえ、一年でいちばんまとまった休みを取りやすい時期であるのも事実です。ここでは、夏休み中の先生の仕事の中身、休める日数の内訳、時期ごとの過ごし方、そして保護者が学校に連絡したいときの注意点までを整理しました。
小学校の先生に夏休みはある?結論は「勤務日」
小学校の先生の夏休みは、子どもの夏休みとイコールではありません。学校が長期休業に入っても、教員の勤務日はカレンダーどおりに続きます。土日祝日が休みなのは普段と同じで、平日は基本的に出勤日です。
そのうえで、授業と放課後の対応がなくなるぶん、休暇を申請しやすい時期にはなります。「先生は夏休みに長く休める」という印象は、この休暇の取りやすさから来ているものです。
子どもの夏休み=先生の休みではない
学校が長期休業中でも、教員の身分や勤務時間は変わりません。公立小学校の先生は地方公務員なので、年間の勤務日数も決まっています。夏休みだからといって、勤務日そのものが減るわけではないのです。
実際、7月下旬から8月下旬までの間にも、研修・会議・事務作業・2学期の準備といった仕事が並んでいます。授業という毎日の柱がなくなるので時間割は緩やかになりますが、「何もない期間」ではありません。
まとまって休めるのは「夏季休暇+年休+学校閉庁日」の合わせ技
では、なぜ長期の旅行に行ける先生がいるのでしょうか。答えは、性質の違う3つの休みを組み合わせているからです。
- 夏季休暇…夏の期間に限って使える特別休暇。日数は自治体ごとに決まっている
- 年次有給休暇…いわゆる年休。他の職種と同じく、いつ取ってもよい休み
- 学校閉庁日…学校そのものを閉める日。お盆前後に設ける自治体が増えている
この3つを土日と合わせて並べると、1〜2週間続けて休むことも可能になります。逆に言えば、休暇を申請していない日は出勤しているということでもあります。
「先生の夏休み」は制度としては存在せず、夏季休暇・年次有給休暇・学校閉庁日を組み合わせた結果として生まれる休みです。長さも時期も、自治体や学校の事情によって変わります。
夏休み中に先生がしている仕事
出勤日に何をしているのかというと、大きくは「学期中にできない仕事」です。授業と子どもへの対応で埋まっている普段の時間割では手が回らない業務を、この時期にまとめて片づけていきます。

研修・各種会議への参加
夏休み中の仕事でもっとも予定が入りやすいのが研修です。教育センターや教育委員会が主催するものが多く、教科ごとの研修、生徒指導や特別支援に関する研修、ICT活用の研修などが並びます。
採用1年目の先生には初任者研修があり、経験年数の節目にも研修が組まれています。校内でも、2学期の行事の打ち合わせや、研究授業に向けた話し合いが行われます。
2学期の授業準備と教材づくり
9月からの授業をどう進めるか、年間計画を見ながら組み立て直すのもこの時期です。1学期に予定より遅れた単元があれば、2学期のどこで取り戻すかを考えます。
あわせて、印刷物やワークシート、掲示物といった教材の準備も進みます。学期中はコピー機の前に列ができることも多いため、静かな夏休みのうちにまとめて作っておく先生は少なくありません。
プール指導・補習・部活動
夏休み中に水泳指導や学習補充の日を設けている学校では、担当の先生が出勤します。ただし近年は、暑さ対策や施設の老朽化を理由に、夏休みのプール開放を取りやめる学校も増えています。
部活動は中学校・高校が中心ですが、小学校でも金管バンドや陸上などの活動がある場合は、夏休み中も練習日が組まれます。こちらも、地域のクラブへ運営を移していく動きが進んでいるところです。
事務作業・提出書類の処理
学校には、集金の会計処理、備品の点検、各種調査への回答など、細かい事務仕事があります。担任以外に校務分掌という役割分担があり、その担当分の書類を夏休み中に整理します。
指導要録など子どもの記録に関わる書類も、学期末の慌ただしさのあとで確認し直す時期になります。個人情報を扱うため、原則として職員室で作業する決まりになっている学校がほとんどです。
教室と施設の整備
子どもがいない期間は、教室のレイアウトを大きく変えられる貴重なタイミングです。ロッカーや棚の入れ替え、掲示物のはりかえ、備品の修理などをこの時期に済ませます。
学校によっては、床のワックスがけや大がかりな工事が入ることもあります。工事の日程に合わせて、教室の荷物を動かす作業が加わることもあります。
- 教育センター・教育委員会の研修、校内の打ち合わせ
- 2学期の授業計画づくりと教材の準備
- 水泳指導・学習補充・部活動(担当者のみ)
- 会計処理・備品点検・調査回答などの事務
- 教室の環境整備、施設の点検や修繕への立ち会い
先生が休める仕組み|3つの休みの違い
夏休み中の休みは、名前も根拠も違う3種類が組み合わさっています。混同されやすいので、それぞれ何が違うのかを整理しておきましょう。
| 種類 | 性質 | 使える時期 | 日数の目安 |
|---|---|---|---|
| 夏季休暇 | 夏限定の特別休暇 | 夏の一定期間に限定 | 3〜5日程度とする自治体が多い |
| 年次有給休暇 | いわゆる年休 | 一年を通していつでも | 年20日程度+繰り越し分 |
| 学校閉庁日 | 学校を閉める日(休暇ではない) | お盆前後が中心 | 3〜5日程度が一般的 |
夏季休暇(特別休暇)
夏季休暇は、夏の一定期間だけ使える特別休暇です。取得できる日数と期間は各自治体の条例や規則で定められており、内容には差があります。
たとえば東京都の学校職員の場合、夏季休暇は6月1日から10月31日までの間に5日とされています(2025年度の制度改正で取得期間が拡大されました)。一方で、連続した日数で取ることを前提にしている自治体もあります。「全国一律で何日」という決まりはないと考えてください。
年次有給休暇
年次有給休暇は、他の職種と同じ一般的な有給休暇です。学期中は授業を空けられないため取りにくく、その結果として夏休みに回る先生が多くなります。
年休をどれだけ残しているかは人によって違うので、夏休み中の休みの長さにも差が出ます。「同じ学校の先生でも休んでいる期間がばらばら」というのは、この違いによるものです。
学校閉庁日
学校閉庁日は休暇ではなく、学校の窓口そのものを閉じる日です。お盆の時期に3〜5日程度設定している自治体が多く、教職員の働き方改革の一環として広がってきました。
閉庁日には日直も置かれず、電話もつながりません。「休みを取りにくい雰囲気があるなら、学校ごと閉めてしまおう」という発想から生まれた仕組みです。導入していない自治体もあるため、詳しくは学校からのお便りで確認してください。
時期別に見る先生の夏休みスケジュール
同じ夏休みでも、7月下旬と8月下旬では忙しさがまったく違います。おおまかな流れをつかんでおくと、学校に連絡を取りたいときの目安になります。
| 時期 | 学校の様子 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 7月下旬 | ほぼ全員が出勤 | 1学期の締め、成績関係の整理、水泳指導、研修の開始 |
| 8月上旬 | 出勤と休暇が半々 | 研修が集中、2学期の準備、事務作業 |
| お盆前後 | 学校閉庁日で無人 | 電話もつながらない期間 |
| 8月下旬 | 再び全員が出勤 | 職員会議、教室整備、始業式の準備 |
7月下旬は、通知表を渡し終えた直後で書類の整理が残っています。個人面談を7月に設定している学校では、その対応も夏休みに入ってすぐの時期に重なります。授業がないだけで、学校の中はまだ動いている状態です。
8月上旬になると研修の予定が集中し、出張で学校を空ける先生が増えます。その合間に休暇を入れる先生も出てくるため、日によって職員室の人数が大きく変わります。
とくに8月下旬は、2学期の立ち上げに向けて一気に忙しくなります。行事の多い9月に備えて、係の分担や日程の確認が続く時期です。始業式に配る資料の準備や、教室の最終点検もこのタイミングで行われます。
2学期にどんな行事が控えているかは、こちらの記事でまとめています。

反対に、夏休みが始まる直前の7月がどう動いているかは、次の記事が参考になります。

保護者が知っておきたい夏休み中の学校とのやりとり
夏休み中は、連絡が取れる日と取れない日がはっきり分かれます。急ぎの用事があるときに困らないよう、学期のうちに確認しておきたいポイントを挙げておきます。

学校閉庁日は電話がつながらない
閉庁日は職員が誰も出勤していないため、学校に電話しても応答がありません。留守番電話に切り替わる設定になっている学校が多く、メッセージを残しても確認は閉庁日明けになります。
閉庁日の日程は、1学期の終わりに配られるお便りや学校のホームページに掲載されます。手帳やカレンダーに書き写しておくと安心です。
緊急時の連絡先を確認しておく
事故やけが、事件に関わることなど、閉庁日でも急を要する連絡先は別に案内されているのが一般的です。教育委員会の連絡先が示されている場合もあります。
提出物・作品の受け渡し
宿題や作品は、始業式にまとめて提出するのが基本です。工作や自由研究のように大きい作品は、持ち運びの方法が指定されることもあるので、お便りの記載を確認しておきましょう。
コンクールの応募作品など、締め切りが8月中に設定されているものは例外です。この場合は提出日と提出先が別に案内されます。
夏休みの宿題にどんな種類があるかは、こちらで一覧にしています。

子ども側の1日の過ごし方を組み立てたいときは、次の記事もあわせてどうぞ。

小学校の先生の夏休みに関するよくある質問
- 夏休み中も先生の給料は出るのですか?
-
出ます。夏休みは勤務日であり、休んでいる日も夏季休暇や年次有給休暇という有給の休暇を使っているためです。授業がない期間だけ給料が減る、という仕組みではありません。
- 先生は夏休みに旅行へ行けますか?
-
休暇を申請すれば行けます。学校閉庁日と夏季休暇、年次有給休暇をつなげれば、連続した休みも取りやすくなります。ただし研修や当番の予定が入っている日は動かせないため、日程は人によって変わります。
- 中学校や高校の先生も同じですか?
-
休暇の制度は共通ですが、部活動の指導がある分だけ出勤日は多くなりがちです。大会や合宿が夏に集中するため、小学校より休みを取りにくいという違いがあります。
- 私立小学校の先生はどうなりますか?
-
私立は学校法人ごとに就業規則が定められているため、休暇の日数や閉庁の扱いは学校によって異なります。公立と同じとは限らないので、個別に確認する必要があります。
- 夏休み中に先生へ相談したいときはどうすればよいですか?
-
まず学校閉庁日を避け、平日の日中に学校へ電話するのが基本です。担任が休暇中の場合もあるため、急ぎでなければ「折り返しでかまわない」と伝えておくとやりとりがスムーズになります。
- 先生の夏休みは昔より短くなっているのですか?
-
休暇の日数そのものより、過ごし方が変わってきています。かつては自宅で行う研修が認められる場面もありましたが、現在は勤務の管理が厳格になり、出勤して業務にあたる形が一般的です。その一方で、学校閉庁日のようにまとめて休みやすくする仕組みも整えられています。
まとめ|夏休みは「授業のない勤務期間」
小学校の先生にとっての夏休みは、休みの期間ではなく授業のない勤務期間です。研修に出て、2学期の準備を進め、学期中に手が回らなかった事務作業を片づけていく時間にあたります。
そのうえで、夏季休暇・年次有給休暇・学校閉庁日を組み合わせれば、まとまった休みを取ることもできます。休みの長さに個人差があるのは、この組み合わせ方が人によって違うからです。
保護者として押さえておきたいのは、学校閉庁日の日程と緊急時の連絡先の2つ。1学期の終わりに配られるお便りで確認し、カレンダーに書き込んでおくと夏休み中に慌てずに済みます。
なお、休暇制度の細かい内容は自治体や学校によって違います。この記事の日数はあくまで目安として、実際の日程は学校からの案内で確かめてください。

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