読書感想文の宿題を前に、お子さんの手が止まったまま原稿用紙が真っ白、という夏休みは少なくありません。何を書けばいいのかが決まらないまま書き始めると、あらすじだけで終わってしまいがちです。
結論から言えば、小学生の読書感想文は「はじめ・なか・おわり」の3パートに分け、まん中の「なか」を一番厚く書けば形になります。この記事では、本の選び方と読み方の準備から、学年別の書き方、つまずいたときの直し方までを順番にまとめました。
小学生の読書感想文は「3つのパート」で考える
読書感想文の基本は「はじめ・なか・おわり」の3パート構成です。この型を押さえるだけで、何を書けばいいのか迷いにくくなります。
原稿用紙を前にして手が止まってしまうのは、全体の設計図がないまま書き始めてしまうことが原因です。まずは3つのパートそれぞれに何を書くか決めてから、本文を書き始めましょう。
実際に文章を書いている時間そのものは、低学年で30分から1時間、高学年でも1〜2時間ほどで収まることが多いものです。時間がかかっているのは書く作業ではなく、「何を書くか」が決まらないまま原稿用紙に向かっている時間の方だと考えてよいでしょう。
基本構成は「はじめ・なか・おわり」
読書感想文の構成は、次の3パートに分けて考えます。
- はじめ:この本を選んだ理由やきっかけ、本の簡単な紹介
- なか:心に残った場面とその理由、自分の体験とのつながり
- おわり:本を読んで考えたこと、これからどうしたいか
「なか」のパートが感想文の中心になります。ここに自分の気持ちや考えをしっかり書くことで、読みごたえのある感想文になりますよ。
「はじめ」と「おわり」は数行ずつで足ります。そのぶん「なか」に書くことを2つ用意しておくと、途中で書くことがなくなって原稿用紙が埋まらない、という状況を避けられます。
各パートで書く内容と分量の目安
| パート | 書く内容 | 分量の目安 |
|---|---|---|
| はじめ | 本を選んだ理由・あらすじ(簡潔に) | 全体の2割 |
| なか | 心に残った場面・理由・自分の体験 | 全体の6割 |
| おわり | 学んだこと・これからの目標 | 全体の2割 |
よくある失敗が、あらすじを長く書きすぎてしまうケースです。はじめのパートは全体の2割程度に収めて、自分の感想を書く「なか」にしっかり文字数を使いましょう。
この割合を字数に置き換えてみましょう。800字なら「はじめ」約160字・「なか」約480字・「おわり」約160字です。1,200字なら約240字・約720字・約240字が目安になります。原稿用紙のマス目で言えば、800字の場合は1枚目の前半で「はじめ」を終え、2枚目の後半から「おわり」に入るイメージです。
原稿用紙の使い方と文字数の目安
学年ごとの読書感想文の文字数は、一般的に以下が目安とされています。
| 学年 | 文字数の目安 | 原稿用紙 |
|---|---|---|
| 1〜2年生 | 800字以内 | 400字詰め×2枚 |
| 3〜4年生 | 1,200字以内 | 400字詰め×3枚 |
| 5〜6年生 | 1,200字以内 | 400字詰め×3枚 |
原稿用紙の基本ルールとして、題名は上を2〜3マス空けて書き、名前は下が1〜2マス空くように書きます。段落の書き出しは1マス空けることも忘れずに。

題名の付け方だけで迷っているなら、5つの型と原稿用紙の書式をまとめた記事もあります。

書く前の準備|本の選び方と読み方のコツ
感想文を最後まで書き切るために大切なのは、「書きやすい本」を選ぶことです。どんなに良い本でも、自分の気持ちが動かなければ感想は出てきません。
夏休みの宿題として出される場合は、「読む日」と「書く日」をカレンダーに分けて入れておくと進めやすくなります。低学年なら読むのに2〜3日、書くのは1日(実際の作業時間は1〜2時間ほど)という配分が現実的です。
読み終わった直後は感想がいちばん濃く残っている時間帯です。その日のうちに次で紹介するメモまで済ませておけば、あとから「どんな話だったっけ」と読み返す手間がなくなります。
感想文が書きやすい本の選び方
読書感想文に向いている本は、「自分と似た体験が出てくる本」や「読んで気持ちが動いた本」です。話題の本や賞を取った本でも、興味がなければ感想は書きづらくなります。
本選びのポイント
- 主人公と自分の年齢が近い物語
- 日常の出来事やなやみがテーマの本
- 読み終わったあと「自分ならどうする?」と考えられる本
- 最後まで読み切れるページ数の本
学校で課題図書が指定されている場合は、その中から自分が一番気になるものを選びましょう。指定がなければ、図書館や書店で実際に最初の数ページを読んでみて、読みやすいと感じた本を選ぶのがおすすめです。
読みながら付箋メモを残す方法
本を読む前に付箋を手元に用意しておきましょう。読んでいて心が動いた場面に付箋を貼り、そのとき感じたことを一言メモするだけで、あとから感想文を書くのがずっと楽になります。
付箋メモには、次のような内容を書いておくと便利です。
- 「びっくりした」「うれしくなった」「悲しかった」などの感情
- 「自分にも似たことがあった」と思った場面
- 「なぜこうしたんだろう?」と疑問に思った場面
付箋は3〜5枚を目安に。貼りすぎるとどれが大事かわからなくなるので、特に心が動いた場面にしぼるのがコツです。
ここで紹介した準備のしかたは、学年が上がっても基本は変わりません。高校生になったときに求められる書き方は、こちらの記事にまとめています。

【低学年】1〜2年生の読書感想文の書き方
低学年の読書感想文は、お子さんが感じたことを素直に書くだけで十分です。うまくまとめようとする必要はありません。
この時期につまずくのは、書く力そのものよりも「感じたことを言葉にする」段階です。まず口で話してもらい、出てきた言葉をそのまま文にしていく流れにすると、原稿用紙の前で固まる時間が短くなります。
ひらがなが多くても、一文が短くても問題ありません。800字は原稿用紙2枚ぶんですが、はじめから2枚を目指さなくて大丈夫です。1枚書けた時点で一度ほめてあげると、最後まで気持ちが続きやすくなります。

低学年向けの本の特徴と選び方
1〜2年生には、絵が多く文章が短い絵本や児童書がおすすめです。身近な生活や動物が出てくるお話は、感想をもちやすいジャンルといえます。
読み聞かせをしてもらってから自分で読み返す方法も、低学年にはとても効果的です。物語の流れがわかった状態で読むと、細かい場面にも気づきやすくなります。
その本を読み切れそうかどうかは、書店や図書館で最初の見開きを開いてみると判断できます。行と行の間が広く、漢字にふりがながふってあり、1ページに絵が入っているものなら、1〜2年生でも読み進めやすい作りです。
「すきなところ」から広げる書き方
低学年の場合は、「この本で一番すきなところはどこ?」を出発点にするのが書きやすい方法です。
付箋を貼った場面の中から、一番すきな場面を1つ選びます。
「どうしてそこがすきなの?」と問いかけて、理由を言葉にします。
「自分にも似たことがあった」「自分だったらこうする」という気持ちを書きます。
3つの答えは、口に出したそばから紙に書き出しておきましょう。原稿用紙にはその紙を見ながら写していけばよいので、書いている途中で「何を言いたかったんだっけ」と迷わずにすみます。
親の声かけサポート例
低学年のお子さんは、自分の気持ちを文章にするのがまだ難しい時期です。保護者の方が質問で引き出してあげると、書く内容が見つかりやすくなります。
使える声かけ
- 「この場面を読んだとき、どんな気持ちだった?」
- 「○○ちゃん(くん)にも似たことあった?」
- 「主人公にお手紙を書くとしたら、なんて書く?」
【中学年】3〜4年生の読書感想文の書き方
3〜4年生になると、自分の体験と本の内容をつなげて書けるようになります。「似た経験をしたことがあるか」を考えるのが、感想を深めるカギです。
字数の面でも、中学年は変わり目にあたります。1,200字は原稿用紙3枚ぶんで、低学年の1.5倍。増えたぶんを埋めるには、書き始める前に何を書くか決めておく作業が欠かせません。
とはいえ、書く内容が急に難しくなるわけではありません。「心に残った場面」と「自分の体験」を1組ずつ増やしていけば、枚数は自然と埋まっていきます。
中学年向けの本の特徴と選び方
中学年には、友だちとの関わりや家族のお話、ちょっとした冒険がテーマの本が向いています。自分の日常と重ねやすい内容だと、感想が自然に出てきます。
文字数が多い本に無理に挑戦する必要はありません。最後まで集中して読める長さの本を選ぶことが、感想文の質にもつながります。
厚さの目安としては、100〜150ページ前後の児童書が中学年には扱いやすい範囲です。1日30分のペースなら1週間ほどで読み終わる量なので、読む予定も立てやすくなります。
「自分の体験」とつなげる書き方
中学年の感想文では、本の場面と自分の体験をセットで書くことを意識しましょう。
たとえば、「主人公が友だちとけんかして仲直りする場面」を読んで心が動いたなら、「自分も友だちとけんかしたことがあって、そのときは…」と自分のエピソードを書きます。すると感想が具体的になり、あらすじの紹介だけで終わるのを防げます。
読書感想文は「本の紹介文」ではなく「自分の気持ちを書く文章」です。あらすじは短くまとめて、自分がどう感じたかに文字数を使いましょう。
構成メモの作り方
原稿用紙に書き始める前に、構成メモを作ると流れが整理できます。ノートや紙に、次の4つを箇条書きするだけで十分です。
- この本を選んだ理由(1〜2行)
- 心に残った場面とその理由(2〜3行)
- 自分の似た体験やそのとき思ったこと(2〜3行)
- 本を読んで学んだこと・これからどうしたいか(1〜2行)
この構成メモがそのまま「はじめ・なか・おわり」の設計図になります。メモができたら、あとはそれぞれをふくらませて文章にしていくだけです。
【高学年】5〜6年生の読書感想文の書き方
5〜6年生は、感想をさらに一歩深めて「自分はどう考えるか」まで書けると、ぐっと読みごたえのある感想文になります。
書く量は中学年と同じ1,200字以内ですが、求められるものは変わります。心に残った場面をいくつも並べるより、一つの場面をどこまで掘り下げられるかが、高学年らしさの出る部分です。
場面をいくつ書くかで悩むより、選んだ場面について自分の考えを長く書く。この配分に切り替えるだけでも、低・中学年の感想文とは印象が変わります。
高学年向けの本の特徴と選び方
高学年には、社会の問題や人の生き方を考えさせるテーマの本がおすすめです。伝記やノンフィクション、戦争・環境・多様性をテーマにした物語などは、自分の意見を書きやすいジャンルです。
もちろん物語が好きなら、主人公の成長を描いたフィクションでも構いません。「読んだあとに何か考えさせられたか」を基準に選ぶとよいでしょう。
候補が絞れないときは、学校の図書室で司書の先生に「6年生が読んで考えさせられる本」と伝えて相談してみるのも早道です。ページ数は150〜200ページ程度でも、テーマに重みのある本なら書くことには困りません。
「考えたこと・学んだこと」を深める書き方
高学年の感想文では、「なぜそう思ったのか」を掘り下げることが大切です。
心に残った場面について「すごいと思った」で終わらせず、「なぜすごいと思ったのか」「自分と何が違うのか」「もし自分だったらどうするか」まで考えて書きましょう。この「なぜ?」の問いかけを繰り返すことで、感想に深みが出ます。
感想を深める問いかけ
- なぜその場面が心に残ったのか?
- 自分だったら同じ行動を取れるか?
- この出来事は身のまわりにもあるか?
- 読む前と読んだあとで、自分の考えは変わったか?
書き出しと締めくくりを工夫する
高学年では、書き出しと締めくくりに少し工夫を加えると、印象に残る感想文になります。
書き出しの工夫として、「この本を読んだのは〜」と始めるのではなく、一番心に残ったセリフや場面からスタートする方法があります。読み手の興味を引くきっかけになるでしょう。
締めくくりは、「おもしろかったです」ではなく、「これから自分はどうしたいか」「どんな人になりたいか」という未来への意志で終えると、読み手に気持ちが伝わりやすくなります。
最初の一文がどうしても決まらないときは、書き出しだけを集めた記事も参考にしてみてください。5つの型と学年別の例文をまとめています。

よくある失敗パターンと直し方
読書感想文を書いていると、多くの小学生がつまずくポイントがあります。よくある失敗を知っておけば、事前に避けることができます。
つまずきの多くは、文章力ではなく進め方の問題です。そのため、書き上げたあとに気づいても手遅れにはなりません。提出前に読み返して当てはまるものがあれば、その部分だけ直せば十分です。
読み手に伝わるかどうかを決めるのは、字のうまさよりも「自分の言葉で書かれているか」です。次の3つは、そこがぼやけてしまう代表的なパターンです。

あらすじばかりになってしまう
最も多い失敗パターンが、本のあらすじをそのまま書いてしまうケースです。感想文はあくまで「自分の感想」が主役なので、あらすじは3〜5行程度(全体の1〜2割)に抑えましょう。
見分け方は文末を見ることです。「〜しました。」「〜になりました。」と出来事の説明が続いている部分はあらすじ、「〜と思いました。」「〜がふしぎでした。」のように自分が主語になっている部分が感想にあたります。書いたものを読み返して前者ばかりなら、削る候補はそこです。
感想が「おもしろかった」で終わる
「おもしろかった」「感動した」だけでは、読み手に気持ちが伝わりません。大切なのは「なぜおもしろいと思ったのか」を書くことです。
「主人公が○○した場面がおもしろかった。なぜなら〜」と理由をセットにするだけで、感想の質がぐっと上がります。低学年でも「どうしておもしろかったの?」と声をかけてあげれば、理由を言葉にできることが多いものです。
気持ちを表す言葉を先に選んでから理由をつなげる、という順番も有効です。「ほっとした」「くやしかった」「ふしぎに思った」「うらやましかった」のように候補を並べてみてください。その中から一番近いものを選ぶだけで、同じ場面の感想でも中身が具体的になります。
最後まで書ききれない
途中で手が止まってしまう原因の多くは、構成メモを作らずにいきなり書き始めていることです。
もし指定の文字数に足りない場合は、「なか」のパートで「もう一つ心に残った場面」を追加するとバランスよく文字数を増やせます。
読書感想文と同じく、学校では「将来の夢」をテーマにした作文もよく出されます。こちらは書き方の型が少し違うので、なりたい職業の調べ方とあわせて確認しておくと安心です。

よくある質問
小学生の読書感想文について、保護者の方から出やすい疑問をまとめました。
- 保護者はどこまで手伝っていいですか?
-
線引きの目安は「言葉を選ぶのは本人、段取りを整えるのは大人」です。清書を代わりに書いたり、大人の言い回しに直したりすると学年に合わない文章になり、読む側にはすぐ伝わります。誤字を指摘する、書いた文を音読してもらう、といった役割なら安心して引き受けられます。
- 読み終わってから提出まで、どんな順番で進めればいいですか?
-
付箋を見返す、構成メモを作る、下書きをする、清書する、の4段階が基本です。低学年は下書きを省き、構成メモから直接原稿用紙に書いても構いません。時間配分の目安は、前半2段階に全体の半分以上を使うイメージです。ここまで決まっていれば、清書はほとんど写すだけの作業になります。
- あらすじはどのくらい書けばいいですか?
-
「どんな主人公が、どんなことをするお話か」が伝わる程度で十分です。結末まで書く必要はありません。全体の1〜2割を目安にしましょう。
- 提出前の見直しでは、どこを確認すればいいですか?
-
形式は、題名と名前の位置、段落の書き出しが1マス空いているか、文末が「です・ます」でそろっているかの順に見ると早く終わります。内容はあらすじの部分が全体の2割を超えていないかだけ確認すれば十分です。声に出して読むと、抜けた助詞や同じ言い回しの繰り返しにも気づけます。
- 前に読んだことのある本でも感想文は書けますか?
-
学校で課題図書の指定がなければ問題ありません。内容を知っている本のほうが、心が動いた場面を思い出しやすい面もあります。ただし、以前書いた感想文が残っている場合は読み返さずに書き始めてください。去年の自分の言葉をなぞるだけになりがちです。感じ方が変わった点に気づけたら、それ自体が良い材料になります。
- 読み終えたのに、心に残った場面が思い浮かびません。
-
感動した場面を探そうとせず、「いちばん長く覚えている場面」を思い出してみてください。変だと思った場面や、いやだと感じた場面でも感想文は書けます。それでも出てこないときは、主人公が物語の最初と最後でどう変わったかを見比べると、書きたい場面が見つかることがあります。
まとめ|読書感想文は「型」を知れば怖くない
小学生の読書感想文は、「はじめ・なか・おわり」の3パート構成を押さえるだけで格段に書きやすくなります。
この記事のポイント
- 構成は「はじめ・なか・おわり」の3パートで考える
- 本は「自分の気持ちが動くかどうか」で選ぶ
- 読みながら付箋メモを残すと、あとで書きやすい
- あらすじは短くまとめて、自分の感想に文字数を使う
- 低学年は「すきなところ」、中学年は「体験とのつながり」、高学年は「考えたこと」が軸になる
大切なのは、上手に書くことではなく、本を読んで感じたことを自分の言葉で伝えることです。型を使って「何を書くか」さえ決まれば、あとは自分の気持ちを素直に書いていくだけですよ。
学校の宿題で困ったときは、親子で一緒に構成メモを作るところから始めてみてくださいね。
今日から始めるなら、やることは2つだけです。読む本を1冊決めること、そして付箋を3枚だけ手元に置くこと。ここまで済めば、あとは読みながら心が動いた場面に貼っていくだけで、感想文の材料はそろっていきます。
なお、中学生になると本選びの基準そのものが変わります。学年が上がったときは、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。


コメント